一瞬の風になれ
ここ数年、直木賞作品を中心に読んできたが、図書館に置いてあるのはあらかた読んだので、本屋大賞作品を読むことにした。
本屋大賞は、2004年から始まっており、2009年が第6回ということになる。第1回から第5回まで大賞を含め上位入賞した作品を、12作品読んだ。
その中で、大好きになった作家がいる。佐藤多佳子。
佐藤多佳子の書いた「一瞬の風になれ」は第4回(2007年)の本屋大賞を受賞した。
この本を読んだのは、もちろん大賞受賞作品であることが理由だが、それ以外に、この本のモデルになった高校が僕の住む相模原市の高校ということがある。神奈川県立麻溝台高等学校である。市の高校がモデルになったからかどうか分からないが、市の図書館や公民館の図書館にたくさん揃えてあり、待たずに借りることができた。
話は、高校の陸上部に入部した幼馴染の二人の3年間の成長の物語。
二人とも100mランナー。
一人は一ノ瀬連。中学の時から注目されていたのだが、運動部によくあるがんじがらめの生活にいや気がさし、中学2年で退部した。
もう一人、神谷新二は中学ではサッカーのFWをやっていたが、サッカーの天才の兄を見ていて自分には素質がないことに気づき、足が速いという取り柄を生かそうと、一ノ瀬を誘って高校の陸上部に入部する。
この二人に、先生、同級生、先輩、後輩、ライバル達が加わって3年間の青春物語が展開する。
麻溝台高校は県立の進学校なので、特に陸上が強いという訳ではない。そこに、二人の天才が入部することで、夢が見えてくる。もともとそれほど強くない陸上部であることが話を面白くしている。
100m走(たった10秒そこら)の中にもドラマがあることを知った。マラソンのような長距離にはドラマがあるのは分かっていたが、100mの中には10秒の中に凝縮されたドラマがある。佐藤多佳子は余分な言葉を削り落したスリムで軽快な文体で、10秒のドラマを描く。
短距離の団体戦400mリレーがこんなに興奮するものだとは知らなかった。日本がオリンピックで銅メダルを取ったのは凄いことなんだと改めて思った。
ちょっとつかみどころのない女の子、谷口若菜が3,000mで県大会出場を決める場面は泣きました。
モデルになった高校に行ってきました。
佐藤多佳子の感受性の富んだテンポのいい文体にひかれて、「イグアナくんのおじゃまな毎日」、「ハンサム・ガール」を読みました。どちらも児童書ですが、終わり方がとてもスカットしていて爽快です。イグアナ飼いたいなと本気で思いました。「ハンサム・ガール」は女のお子さんをお持ちの方、是非読んでください。
「サマータイム」、「五月の道しるべ」は、図書館に行ったら児童書のコーナーに置いてありましたが、大人の読む本でしょう。登場人物は子供で、子供の気持ちがつづられていますが、そのポエムのような語り口は大人でこそ感受できるものだと思います。
今、「黄色い目の魚」を読んでいます。
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